おたよりの締め切りが近づくと、パソコンの前で手が止まる。そんな経験がある保育士は多いのではないでしょうか。子どもの様子はちゃんと見ているのに、いざ文章にしようとすると、何から書けばいいか分からなくなる。毎月同じような表現になってしまい、季節の話題も思いつかない。
保育園のおたよりは、AIを活用することで下書き作成にかかる負担を減らせます。この記事では、そのまま使えるChatGPTプロンプトと、保育士らしい温かい文章へ仕上げるコツ、個人情報を守るための注意点まで、実践できる形でまとめました。文例をそのまま探すのではなく、自園に合わせた文章をAIと一緒に作る方法を紹介します。
保育士のおたより作成はAIでどこまで時短できる?
AIは、おたよりの下書きを短時間で作ることが得意です。ただし、完成させるのは保育士自身です。この関係を最初に押さえておくと、この先のプロンプトも使いやすくなります。
おたより作成で時間がかかる理由
おたよりが負担になりやすいのは、書く内容が決まっていないからです。子どもの様子は頭の中にあっても、文章の形にするまでに時間がかかります。
さらに、毎月似たような表現を使ってしまい、「またこの言い回しか」と感じることもあります。季節の挨拶を考えるだけで、時間を使ってしまうこともあります。
AIに任せられること・任せられないこと
AIが得意なのは、伝えたい内容を整理して文章の形にすることです。季節の言い回しや、言葉の言い換えも複数案を出してくれます。
一方で、AIには任せられないこともあります。実際にその日あった出来事や、園の雰囲気、子ども一人ひとりの様子は、保育士にしか分かりません。AIはあくまで下書きを作る道具であり、内容の事実確認と最終判断は保育士が行うものです。
AIを使うとどれくらい時短できる?
一からおたよりを考える場合、書き出しの言葉が決まらず、白紙のまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。AIに条件を入力すると、まず下書きが手元にでき、そこから確認・修正へ進める状態になります。
もちろん、その後の確認や修正の時間は必要です。それでも、「白紙から考える工程」を「下書きを直す工程」に変えられるだけで、心理的な負担はかなり軽くなります。
以下は、手作業とAI活用を比較した表です。
| 項目 | 手作業 | AI活用 |
|---|---|---|
| 着手 | 一から文章を考える | 条件を入力して下書きを生成 |
| 主な作業 | 文章の構成から考える | 生成された下書きを確認・修正する |
| 表現 | 毎回似た言い回しになりやすい | 複数の案から選べる |
| 負担感 | 何を書くか毎回悩む | 書き出しや構成を考える負担を減らしやすい |

AIを使えば必ず速くなるというより、「悩む時間」を減らせる、という理解のほうが実際の使い方には近いです。次は、具体的にどう使えばいいのか、手順を見ていきます。
AIでおたよりを作る4つのステップ
AIでおたよりを作る流れは、大きく4つのステップに分けられます。保育現場では、子どもの姿を把握していても、保護者向けの文章へまとめる段階で手が止まりやすいものです。手順を一度整理しておくと、次回から進めやすくなります。
AIによるおたより作成とは、匿名化した情報をもとにAIで下書きを作り、事実関係と園らしい表現を保育士が確認して完成させる方法です。
STEP1 伝えたい内容を整理する
まず、おたよりで伝えたい内容を箇条書きにします。季節の様子、行事の予定、クラスの子どもたちの姿など、思いついたことをそのまま書き出すだけで構いません。
文章としてきれいにまとめる必要はありません。メモ程度の言葉で十分です。
STEP2 個人情報を削除する
次に、書き出した内容から、子どもの名前、園名、保護者の名前など、個人が特定される情報を削除します。「〇歳児クラス」「ある男の子」のように、一般的な言い方に置き換えてください。
このステップは、AIに入力する前に必ず行う工程です。詳しい注意点は、後の章で改めて説明します。
例えば「〇〇ちゃんが△△公園で転んで泣いていた」というメモは、「散歩先で転んでしまい、泣いてしまった子がいた」のように書き換えます。名前や場所を消しても、出来事の要点は十分に伝わります。
STEP3 ChatGPTへ入力する
匿名化した内容をもとに、プロンプトを使ってChatGPTに入力します。季節、行事、クラス、伝えたいトーンなどの条件を入れると、より園らしい文章に近づきます。
この記事で紹介するプロンプトは、そのままコピーして使える形にしています。
STEP4 保育士らしい文章へ修正する
AIが出した文章をそのまま使うのではなく、実際の出来事に合わせて修正します。園の言い回しや、担任としての一言を加えると、一気に自然な文章になります。
この最後の一手間が、AI任せにしないための大切な工程です。
以下は、4つのステップの流れです。
STEP1 伝えたい内容を整理する ↓ STEP2 個人情報を削除する ↓ STEP3 ChatGPTへ入力する ↓ STEP4 保育士らしい文章へ修正する

子どもの様子を箇条書きにするだけで、AIへの入力はぐっとやりやすくなります。ここまでの流れが分かったところで、次は実際に使えるプロンプトを紹介します。
【コピペOK】そのまま使えるおたよりAIプロンプト集
ここからが、この記事の中心となるプロンプト集です。コードブロックの中身をそのままコピーして、【 】の部分を書き換えて使ってください。条件を書き換えるほど、AIが出す文章は園の雰囲気に近づいていきます。
基本プロンプト
まずは、どんな場面でも使える基本形です。
あなたは保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、保護者向けのおたより文章を作成してください。 ・クラス:【クラス名】 ・季節や時期:【時期】 ・伝えたい出来事:【出来事の概要】 ・希望するトーン:【やわらかい/丁寧など】 ・文章量:【〇〇文字程度】 ※個人が特定される情報(子どもの名前・園名・保護者名)は含めていません。
乳児クラス向け
0〜2歳クラスでは、生活面の変化を中心に伝えると保護者に伝わりやすくなります。
あなたは0〜2歳クラスを担当する保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、保護者向けのおたより文章を作成してください。 ・クラス:【乳児クラス】 ・伝えたい様子:【食事・午睡・遊びなどの変化】 ・伝えたい出来事の概要:【出来事の概要】 ・希望するトーン:【やさしく安心できる表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
幼児クラス向け
3〜5歳クラスでは、友だち関係や成長の様子を伝える場面が増えます。
あなたは3〜5歳クラスを担当する保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、保護者向けのおたより文章を作成してください。 ・クラス:【幼児クラス】 ・伝えたい様子:【友だちとの関わり・成長を感じた場面】 ・伝えたい出来事の概要:【出来事の概要】 ・希望するトーン:【前向きで温かい表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
季節のおたより
季節ごとの言い回しに悩んだときに使えるプロンプトです。4月・6月・10月・12月を例に紹介します。
あなたは保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、季節感のあるおたより文章を作成してください。 ・時期:【4月/6月/10月/12月など】 ・伝えたい行事や様子:【出来事の概要】 ・クラス:【クラス名】 ・希望するトーン:【季節に合った表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
4月なら入園や進級の緊張と喜び、6月なら梅雨時期の室内遊び、10月なら秋の自然や運動会、12月なら一年の振り返りといった具合に、【時期】を書き換えるだけで方向性が変わります。
例えば6月であれば、次のような文章が生成されます。
雨の日が続き、室内で過ごす時間が増える季節になりました。制作遊びや絵本の読み聞かせを通して、じっくり過ごす時間を楽しんでいます。晴れ間には園庭に出て、水たまりを見つけて喜ぶ姿も見られました。
ここに、実際の活動内容や子どもたちの反応を一言加えると、より園らしい文章になります。
行事のおたより
運動会・遠足・夏祭り・発表会・卒園など、行事の前後に使えるプロンプトです。
あなたは保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、行事に関するおたより文章を作成してください。 ・行事名:【運動会/遠足/夏祭り/発表会/卒園など】 ・伝えたい様子:【子どもたちの取り組みや当日の雰囲気】 ・時期:【行事の前/当日/後】 ・希望するトーン:【楽しみや達成感が伝わる表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
保護者へのお願い
持ち物や協力のお願いなど、伝え方に気を使う場面向けのプロンプトです。
あなたは保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、保護者へのお願い文章を作成してください。 ・お願いしたい内容:【持ち物・協力事項など】 ・理由:【お願いする理由】 ・希望するトーン:【丁寧で押しつけない表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
短文バージョン
掲示物やアプリ配信など、短くまとめたい場面向けです。
あなたは保育士の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の内容を、100文字程度の短い文章にまとめてください。 ・伝えたい内容:【出来事の概要】 ・希望するトーン:【簡潔で分かりやすい表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
園長向け文章
園だよりなど、園長・主任名義で発信する文章向けのプロンプトです。
あなたは保育園の園長の文章作成を手伝うアシスタントです。 以下の情報をもとに、園だよりの文章を作成してください。 ・伝えたい内容:【方針・行事の案内など】 ・対象:【保護者全体】 ・希望するトーン:【丁寧で落ち着いた表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
園らしい表現へ整えるリライト用プロンプト
AIが出した文章が硬く感じるときに、書き直しを頼むためのプロンプトです。
あなたは保育士の文章を自然な言葉へ整えるアシスタントです。 以下の文章を、話し言葉に近い、園の雰囲気に合った表現へ書き直してください。 ・元の文章:【AIが生成した文章】 ・園の雰囲気:【やさしい/落ち着いている など】 ・残したい情報:【変えたくない事実や表現】 ※個人が特定される情報は含めていません。
公開前の確認用プロンプト
投稿する前に、事実確認や個人情報の見落としがないかをAIと一緒にチェックするためのプロンプトです。
あなたは保育士の文章を確認するアシスタントです。 以下の文章について、次の観点でチェックしてください。 ・個人が特定される情報(名前・園名・住所など)が含まれていないか ・行事名や日付など、事実と矛盾する表現がないか ・不自然な言い回しや誤変換がないか ・確認する文章:【完成前の文章】 ※最終的な公開可否は、AIの判定だけで決めず、必ず保育士自身が確認してください。

目的別のプロンプトも公開しています。
- 乳児クラスの連絡帳を作りたい方は「0〜2歳児の連絡帳AIプロンプト」
- 幼児クラスの成長を伝えたい方は「3〜5歳児の連絡帳AIプロンプト」
- 園内の安全ルールを整えたい方は「保育園でAIを安全に使う運用ガイドライン」
- 入力してよい情報の境界を確認したい方は「保育士向けAI個人情報保護ガイド」
プロンプトをコピーするだけで終わらせず、次の章では、AIが作った文章を保育士らしい表現へ整える方法を紹介します。
AIらしい文章を保育士らしい文章へ直すコツ
AIが作った文章は、そのままだと少し硬く感じられることがあります。最後にひと手間加えることで、印象は大きく変わります。
AIらしい文章の特徴
AIの文章は、文法的には整っていても、どこか型どおりに見えることがあります。「〜と言えるでしょう」「重要です」といった表現が続くと、読み手には機械的な印象を与えます。
こうした特徴に気づけると、修正するポイントも見えてきます。
柔らかい表現へ直す
硬い言い回しは、話し言葉に近い表現へ置き換えます。例えば「〜することが重要です」は「〜すると安心です」のように直すと、園の雰囲気に合いやすくなります。
一文が長すぎる場合は、区切って短くするだけでも読みやすさが変わります。
保護者が安心する文章にする
保護者は、我が子の様子が具体的に伝わる文章に安心感を持ちます。抽象的な言葉だけで終わらせず、その日の様子が目に浮かぶような一言を添えてみてください。
担任としての感想を一文加えるだけでも、AIが作った文章がぐっと自分の言葉に近づきます。
Before After
実際の修正例を見てみましょう。AIが出す文章は、全体としては整っていても、事実や気持ちの部分が薄くなりがちです。
AI生成(そのまま)
保育園では、子どもたちが元気に活動しています。季節の変化を感じながら、様々な経験を積み重ねています。保護者の皆様にはご理解とご協力をお願いいたします。
保育士が修正した後
暖かくなり、園庭で体を動かす時間が増えてきました。虫を見つけては友だち同士で見せ合う姿が、この季節らしい光景です。衣服の調節がしやすいよう、羽織れるものの準備をお願いいたします。

AI文章をそのまま公開せず、園の実際の様子に合わせて言葉を足すことが、温かいおたよりに仕上げる一番の近道です。次は、AI活用でどうしても押さえておきたい注意点を整理します。
AIでおたよりを作るときの注意点
AIは便利な道具ですが、使い方を誤ると思わぬトラブルにつながります。ここでは、必ず押さえておきたい注意点をまとめます。
個人情報
子どもの名前、保護者の名前、園名、住所、地域名など、個人が特定される情報はAIに入力しないでください。匿名化すれば何でも入力してよいわけではなく、詳しすぎる出来事の描写だけでも、特定につながる場合があります。
「〇歳児クラス」「ある日の遊びの様子」のように、一般的な表現に置き換えることを徹底してください。
例えば「〇〇くんが発表会で泣いてしまった」という出来事は、「発表会本番で緊張してしまった子がいた」のように書き換えられます。誰の話かが分からない形にしても、伝えたい内容は十分に残せます。
個人情報が関わるのは、文章だけではありません。次のことにも注意してください。
- 子どもや保護者の顔写真、音声をアップロードしない
- 名簿や連絡先一覧を添付しない
- 園内限定の資料や、公開前の行事情報を入力しない
- 無料版、有料版、法人向けプランのどれを使う場合でも、園のルールと匿名化を優先する
著作権
AI生成文の著作権や利用条件は、生成方法、既存文章との類似性、利用するサービスの規約などによって扱いが異なります。他園のおたよりや市販の文例をそのまま入力・転載せず、生成文が既存文章に似すぎていないか確認し、最後は自園の言葉へ書き直してください。
判断に迷う場合は、園の責任者や専門家へ確認しましょう。
AIの間違い
AIは、事実と異なる内容や、不自然な表現を生成することがあります。行事の名称や日付など、事実に関わる部分は必ず保育士自身が確認してください。
AIが出した文章を疑いなくそのまま使うのではなく、「一度立ち止まって読み直す」ことを習慣にすると安心です。
園のルール確認
利用するAIサービスの規約や、園として定めているルールを事前に確認してください。法人向けプランを使えばリスクがなくなる、ということではありません。
法人向けプランは、学習利用を避けられる設定が用意されているなど、リスクを下げやすい面はあります。それでも、個人情報を入力しないという基本は変わりません。
以下は、おたより作成前に確認したいチェックリストです。
- 子どもの名前を書いていないか
- 園名を書いていないか
- 保護者名や住所などの情報を書いていないか
- 行事の日程や内容が事実と合っているか
- AIが作った文章を読み直したか
- 園らしい表現に修正したか

「おたより」以外にも、保育現場ではAIを活用できる業務があります。連絡帳や保護者への案内文なども効率化できますので、関連記事もあわせてご覧ください。
ここまでの内容を踏まえて、よくある疑問にまとめて答えていきます。
よくある質問
AIで作った文章はそのまま使えますか。
そのまま使うのではなく、必ず内容を確認してから使ってください。行事の日時や事実関係にずれがないか、園らしい表現になっているかを見直すことをおすすめします。
無料版でも使えますか。
無料版でも、この記事で紹介したプロンプトは基本的に利用できます。ただし、利用できる回数や機能はサービスによって異なるため、詳細は各サービスの案内を確認してください。
スマートフォンだけでも使えますか。
スマートフォンのアプリやブラウザからでも、プロンプトを入力して文章を作成できます。休憩時間などのすきま時間にも取り入れやすい方法です。
著作権はありますか。
AI生成文の著作権や利用条件は、生成方法、既存文章との類似性、利用するサービスの規約などによって扱いが異なります。他園の文章や市販の文例をそのまま転載せず、最後は自園の言葉へ書き直してください。判断に迷う場合は、園の責任者や専門家へ確認しましょう。
個人情報はどこまで入力できますか。
子どもの名前、保護者名、園名、住所など、個人が特定される情報は入力しないでください。「〇歳児クラス」のように、一般的な言い方に置き換えて入力することをおすすめします。
毎月使えますか。
季節や行事に合わせて条件を変えるだけなので、毎月継続して使えます。プロンプトを園専用にアレンジしておくと、さらに使いやすくなります。
保育士らしい文章になりますか。
AIが作った文章をそのまま使うのではなく、担任としての一言や園の言い回しを加えることで、自然な文章に近づきます。この記事で紹介したBefore Afterの例も参考にしてください。回数を重ねるうちに、自分がよく使う言い回しのパターンも見えてきます。
園長や主任でも使えますか。
園長向け・主任向けのプロンプトも紹介していますので、園だよりや保護者全体への案内文にも活用できます。担任からの発信よりも落ち着いたトーンにしたい場合は、プロンプトの【希望するトーン】を「丁寧で落ち着いた表現」のように指定すると調整しやすくなります。
まとめ
AIは、おたよりを代わりに書いてくれる道具ではありません。考える時間を減らし、下書きを作るための道具です。
最後に文章を確認し、園らしい言葉を加えるのは保育士自身の役割です。この一手間があるからこそ、温かいおたよりが短時間で完成します。


